弌矢コード

挿絵に負けたくないです。

夕暮れの歌舞伎町から振り向くと、
出勤タイムの女性たちの波が寄せてくる。
左右に別けてぼくを通り過ぎていく。

女たちに支えられている街がある。
笑いと涙、
地獄と享楽に支えられている、
素敵な街がある。

光っている磁場、
彼女たちにぼくらは支えられている、
そんな場所がこの国にもある。

不思議なのはそれが、
ぼくに懐かしさを与えてくれる事だ。

女性たちよ、
ぼくの母もまた女性だった。
笑いと涙に煉獄享楽、
母もそれを与えてくれていた。
父親不在の思い出のなかで。

ぼくが夫だったなら、
相手に何を与えよう。
ぼくが父親だったなら、
子供に何を与えよう。

ぼくは歌舞伎町の入り口で、
夕日の色にシャツを染め、
これから我が家に帰らなければならない。

もうすぐ夜が降ってくる。