弌矢コード

挿絵に負けたくないです。

明日のまえから上機嫌

チョコレートをかじりながら芝生を裸足でふんで、あたしは上機嫌だ。初夏の日差しと浮雲のとけあう下を、その心地のまま歩くと、海が見えてきた。湾岸遠くの光芒の下をタンク船が横切っていく。
造船会社の作業服を着た人たちの入り交じるこの上機嫌な光景をアイフォンで撮影してみた。スワイプするとかもめが写り込んでいた。もうひとかけらチョコレートをかじった。
上機嫌のまま悩みをかんがえる。
業務の苦痛、関係の苦痛、失敗の汗、
目眩のする様々なイマージュ。
それでもあたしはやっぱり上機嫌だ。
波止場にもう逃げ水を見いだした。
あたしは心地よく汗ばんでいた。
チョコレートが少しとろけている。
たくさん頬張ろう。明日はこれ以上の海を眺めながら、ここ何週間もの嫌なこともすべて忘れて頬張ることにしよう。
ひとり勝手にバーベキューの下見に来たあたしが振り返ると、うんざりする職場がある。今までの道はすべて会社の敷地だ。嫌な気分の染みついたこの敷地も、今は小躍りしたくなるほど光っている。
サイレンが鳴って、休憩の終わりがおとずれた。
銀紙をていねいに折りたたんで、作業服のポケットに入れた。