弌矢コード

挿絵に負けたくないです。

ヴァリアント 1

現れた。青に溶け込む緑が。仄かに色づく空間をKがたゆたう。複数の薄くゆれる影により、灯りの方向性が一定でないことがわかる。影の手前に浮かぶ透明色のKが玉響に指を動かす。指先から波打っていく。
アルカイックスマイルの面立ちを崩さないのは、この空間を持続させるため。階段に足をかける。静かに響く水面を打つ音が一段一段、オクターブを上げていく。音が一つずつ増えていって四つでとまって極まる。輪舞し始める。中心から外側へと宝石の様に凍てついていき、空間全体が回転しだしたかと思うと、
──いっそ壊れてしまおうか。
目を開けたまま我に返ると片頭痛と戯れていることに思い至って、再度天井を眺めやると蛍光灯が光ったままでいた。その隣の小さな光の粒は指輪の反射光、手を動かしてそれを弄んだ。
調子を取り戻すために破顔して起き上がり端末のボタンを押して薬を飲みながら起動を待った。外から螺旋階段を駆け下りていく音が聴こえてくる。
放火魔の足音だったなら。
頭痛は今治った。頬が優しく痺れている。これから巨大な台風がここを直撃すると伝えられたKは半身浴をしてからパジャマを着た。